リーシュコードにて




 暖かな布団に包まれてうっすらと目を開けると、

その胸は、大昔のあの瞬間と同じように激しく波打っている。



 玲子は、暗い夜の中に身を起こし、夢の中で誠と触れ合った自分の額に手を当てた。



 そして14歳の自分が、あの日から誠を「まこ兄」と呼ぶのを止めたことを振り返る。


 
 やがて玲子は、今までの自分が、恋に淡白な女として歴代の彼氏たちにため息を吐かせてきたのは、

誠への初恋のせいだったことをようやく認めた。



 告白しても困らせるだけだと一度も口にすることもなく、

いつしか自分でも忘れかけていた想いは、胸の奥底で長い長い時を生きのびていたのだ。


 
 そして玲子は、誠のいないこの日々の中で、忘れていたはずの想いが幾度も寝返りをくり返すのを感じ、不安に震えた。



 玲子にとって、誠への想いを認めることは、自分を甘やかされた少女時代へと返すことだった。


 
 誠が去った今こそ、背筋を伸ばしてリーシュコードを支えなければならないのに。