誠は、思いつめた玲子の口調にはっとすると、苦い微笑みを浮べて震える細い肩に掌をそっと乗せた。
玲子の肌は、誠と同じ色に日焼けしている。
「……馬鹿だな。俺は、玲子には絶対にサーフィンを止めないでほしいんだけど?
お前のサーフスタイルは、鉄平さんのと俺のとを受け継いでるんだ。
だから俺は、玲子が誰かにサーフィンを教えたら、俺のスタイルもその中に残るって思ってる。
だろ? 俺の夏は、玲子の中でずっと生きるんだよ」
「……ずっと?」
誠のその言葉の意味は、そのときの玲子にはよく分からなかった。
ただ玲子が理解できたのは、自分は、誠から目に見えない大切なものを託されたということだけだった。
