栄治にとってクラスの友達とは、 心のガードに気づかれないように感じよくあしらっておく存在でしかなかった。 もしも気を許して父親のことがばれたら、いじめの的にされる。 修羅場を2つ背負う余裕はないと、いつか冷めた目で誠につぶやいたこともあった。 ゆれるランプの炎を映す20歳の栄治の彫りの深い横顔が、 玲子の目の中で一瞬だけ、生傷の絶えない意地っぱりの少年に戻る。