「怪我を理由にこれ以上わがままを通すつもりなら、 人さまの中で生活して、一度苦労してこい」 退院したら、長野にある誠の実家、 旅館あらふじに住み込んで仲居として働くように……と、鉄平が言い出したのはそんなときだった。 それは、提案ではなく命令だった。 鉄平は、19歳の玲子に最終通告を出したのだ。 脚が戻らないことは、もう受け入れて生きていくしかない。 そして、それといっしょに、自分の中のより大切なものまで捨てる覚悟があるのかよく考えてみろ、と。