携帯の向こう側からは、苦しげに唇を噛みしめる誠の気配が伝わってくる。 「ありがとう。……玲子?」 「ん?」 「共にじゃなくても、生きていこうな。俺たち」 そしてその言葉と共に、電話はあっさりと切れた。 玲子は、黄金の陽射しの中で大きく伸びをすると、 短縮ナンバーの1番、新藤誠のアドレスを携帯から消去する。