リーシュコードにて




「違うよ、よく知ってるでしょう?

 サーフィンとリーシュコードを理由に、誠を呼び寄せてたのは、私だった」



 玲子は、静かに首を横に振った。



 ……リーシュコードのことで相談があるの。

 息抜きにサーフィンでもしに、ちょっとこっちに来ない?



 玲子が誠にそんな電話をかけたのは、指輪を返してから1年ほど過ぎた頃のことだ。



 誠は、戸惑いながら鉄平の目を盗むように閉店後のリーシュコードを訪れ、

翌朝久し振りのサーフィンを楽しむと、長野へ、あらふじへと戻って行った。



 それでも駅前のビジネスホテルに宿を取り、別れた玲子に指1本触れようとしなかったのは、

せめてもの誠なりのけじめだったのだろう。