リーシュコードにて




「まこ兄?」



「なんだよ」



「う、ぬ、ぼ、れ」



「腹立つなぁ、このオンナ!」



 そして続いた玲子の一言で、完全にほっとした笑い声と共にそう吐き捨てる。



 玲子も、つられて笑い転げながら、昨夜誠に電話をかけ続けたときには、

涙と共に100の恨み言をぶつけようとしていたことを思い返していた。



 だけど……。



 栄治の笑顔を、志保との馴れ初めを語るとろけそうな微笑みを見ているうちに、

そんな思いはどこかに消えてしまった。



 誠もきっとあんな笑顔で、

玲子の知らない婚約者との未来を思い浮べているのだろう。