リーシュコードにて




「誠、お見合いで結婚決めたんだって。夕方電話が来た」



 そのとき玲子は、再びシェーカーに手を伸ばしながら唐突にそう口にした。



 まるで海とリーシュコードとを選んだ、その結末を自分に突きつけるかのように。
 


 栄治は、その言葉に撃ち抜かれたかのように、一瞬全ての動きを止めた。



「……夕方って、いつの?」



 そして信じられないと言いたげに、恐る恐るそう問いかける。



「ん? 今日のだよ」



「なんで?! どうしてわざわざそんな報告してくるんだよ?!

 嫁でもなんでも、黙って勝手に貰えばいいじゃないかよ?!」



 玲子が淡々とこたえると、栄治はカウンターに身を乗り出し、

そこにいない誠につかみかかりそうな勢いで声を荒げた。