「誠さんはその間何やってたんだよ?!
先輩が苦しんでるの、黙って見てたわけ?!」
そのとき栄治は、にんじんスティックを親の敵のようにかじりながらイラついた声を出した。
「誠は、相棒をサーフボードから包丁に替えたばっかりだったんだよ。
自分のことで精一杯だった。
……でも、それはしょうがないじゃない。
私も同じ立場になったことあるから、分かるもの」
玲子は、リーシュコードのオープン当初を振り返り、自分の左脚を見下ろして静かに言った。
そして、カウンターの下で携帯を開く。
だけど相変わらず着信はない。
メールすらも。
玲子は、手探りで短縮の1番にかけると、震える指先で通話を切って携帯をポケットに戻す。
