リーシュコードにて




「……介護ができれば、それが仕事だって思えて、

自分の居場所を作れたかもしれないんだけどね」



 玲子は、煙草を消すと作り笑いを浮べた。



 右半身が麻痺して車椅子生活になったとはいえ、

頑固一徹で誇り高い伯父は、かつては膝に乗せて可愛がった玲子に、

決して弱味を見せなかった。



 着替えや食事の手助けすら嫌がる。ましてトイレや風呂の介助など、とんでもない。



「結局、ただ側に座ってることしかできなくってさ。

 すぐに役立たずの自分に耐えられなくなって、指輪返して、リーシュコードに逃げ戻って来たってわけ。



 ……まあ、結婚式も入籍もする前でまだ良かったよ。

 そーゆーこと」
 


 玲子は、そこまでを一息で語ると、ぬるくなりかけたブルーラグーンを3口で空けた。



 栄治の左手の薬指に光る、プラチナの輝きが目に痛い。