「海の側に帰ってきて気が緩んだのか、
私、どうしてもあらふじに戻る気になれなくてね。
最初は1週間だけいるはずだった予定が、10日になって2週間になって……。
そしたら、ついにとーさんが切れた」
それまで玲子の好きにさせていてくれた鉄平が、
甘えるのもいい加減にしろと一喝したのは、そのときだった。
あらふじで働いていけないのなら、主婦になれ、そしてきちんと籍を入れるまでもう戻ってくるな、と。
玲子は、誠と伯父、伯母に頭を下げて、
新藤家で、退院した伯父の介護をして暮らしていく決意を固め、長野に戻った。
