「今考えてみても、私、
とーさんがどうしてあんなに大急ぎで結婚を進めたのか、ちょっと不思議なんだ。
栄治のことも、まるで追い立てるみたいにリーシュコードからも家からも出しちゃって」
「……仕方ないよ。
誠さんのお父さんの容態が安定してるうちに、式を挙げようと思ったんだろ。
それに先輩だって、少しの間も誠さんと離れたくなかったんじゃない?」
そう言ってから栄治は、一瞬しまったと言いたげな顔をした。
「気にしないでいいよ、今さら」
玲子は、屈託なく見えるように努力して笑うと、二杯目のカクテルと肴とを作り始める。
手を動かしている方が、楽だった。
誠の話題は胸を裂いていくけれど、
あのときあんなにも迷惑をかけた栄治に、別れの説明をしないわけにはいかない。
