「……あのときはさ、栄治に迷惑かけて本当に申し訳なかったと思ってる。
だって私、栄治の再就職の世話もアパート見つけるのも、
全部とーさんに任せて、自分は誠について行くための準備にかかりっきりになっちゃたんだから。
我ながら無責任だったと思うよ」
そして百万回でも繰り返して続けたいごめんなさいは、
胸の奥に飲み込み、唇をぎゅっと引きしめた。
あれから、誠と結婚の約束をしたことを鉄平に報告すると、
話は猛スピードで進み、リーシュコードはその年のうちに店を閉めることになった。
栄治は、鉄平の世話で大磯の無国籍料理屋に職を決め、
店の近くにアパートも借りて、リーシュコードから去って行ったのだ。
