リーシュコードにて



 再び冷えたジンを唇に含むと、

それは燃え上がり、咽を熱く下って痛み続ける心臓を焼いていく。



 それは、母を亡くしたときとサーフィンを諦めたとき、

玲子の一番辛かった二つの別れと重なる痛みだった。




「そうか。玲子は……強いな」



 そのとき、誠がぼそりと言った。



 その響きのあまりの暗さに、玲子はグラスを干す誠の横顔をはっと見つめる。



 ……俺は、いつかは自分の手で、夏を終わらせなきゃいけないんだよ。



 玲子の視線を避けるように再びうつむいた誠は、過ぎ去った14歳の夏、


2人でエンドレスサマーのDVDを観た後で、そう口にしたときと同じ目をしていた。



 どこまでも駆け抜けて行く親友の背を、唇を噛んで見送る車椅子の少年の瞳。