「早く入って。冷えたでしょ」 玲子は、胸の痛みを隠して誠を家に招き入れ、 居間に据えられた年代物の石油ストーブとコタツを点けて回る。 「そうか? 今夜は暖かいぞ?」 「長野に比べれば、でしょ?」 そして誠の言葉に思わず苦笑すると、手渡された紙袋を見下ろし、一瞬呼吸を止めた。 それには、玲子の好きな鯉の甘露煮と、 夢で見たボンベイ・サファイヤ、あのアクアブルーのボトルが入っていたのだ。 同時に玲子は、誠がこんな夜中にいきなりやって来た本当の理由を知った。