玄関のチャイムが、しんとした家中に響き渡ったのはそのときだ。
びくりと飛び起き、カーディガンに袖を通した玲子は、
同時に枕元の携帯が、着信のために震えるのを目にした。
「もしもし?!」
「悪い。起こしたか?」
そして階段を駆け下り、暗い玄関にたどり着いたとき、
誠の声が、確かに携帯とドアの向こうから同時に響いていることに気づく。
「誠、もしかしてそこにいるの?! どうして?!」
「ごめんな、こんな時間に」
錆びた声を耳にしながら、玲子はもどかしげにチェーンとロックを外した。
叩きつけるように外開きの扉を開けると、そこには1週間ぶりの誠が立っている。