「最近見ねぇから、ずっと心配してた。……やっと会えたな?」

「…………」


あたしだけに向けられた優しい瞳に、涙が頬を滑り落ちる。


「あ、あたし、あなたを……ずっと、見てました」


会えたら言おうって、心の中で何度も繰り返した言葉。


「知ってる。……俺も見てた」


彼の親指が頬に触れて、あたしの涙をそっと拭った。


「俺、マジでばかだ。何度もすれ違ってさ……」


整った顔が近づき、恥ずかしくて……目を閉じる。


「待たせてごめん」


ドキドキしながら目を開くと、あたしは彼に抱き締められていて。


「うぅん」


温かい腕の中から、彼の顔を見上げた。


「えっと……キミ、名前は?」


あたしの名を知らないことに気づいた彼が、苦笑を浮かべる。