「はぁ……」

「小雪、最近元気ないね?」


ソファに身を沈めて溜め息を吐くと、心配そうな顔をしたお姉ちゃんが、グラスを差し出してきた。


「うん……ありがと」


グラスはよく冷えていて、一口含むと、紅茶の甘い香りが口の中に広がった。


「好きな人に会えなくて寂しい、とか?」

「……! げほっ」


お姉ちゃんの鋭い指摘に、紅茶が気管に吸い込まれてむせた。


「大丈夫?」

「けほっ」


涙が滲んで、背中をさすってくれるお姉ちゃんがボヤけて見える。


「も……いきなり変なこと言わないでよぉ」


呼吸が落ち着いて、あたしはお姉ちゃんに抗議した。


「ごめんね? でも、図星だったんだ?」


お姉ちゃんは嬉しそうに、あたしの頭を撫でた。


「夏休みだから会えないんでしょ?」

「……うん」