「うっわ、マジかよ?」


目の前に広がる光景に、隣を歩く恭ちゃんが声を上げて。

あたしたちは立ち止まった。


「平日だよな? どっから湧いてきたんだ?」


あまりの人だかりに、恭ちゃんは軽く引いている。


「きっと、あたしたちもおんなじこと思われてるよ?」


何だか可笑しくなって、笑ってしまった。


今は春休み。

あたしたちはお花見をしに、桜並木のある川沿いの舗道まで足を運んでいた。

桜の木の下には、昼間からビールで乾杯している花見客が大勢いて。

すでに花見じゃなく、宴会のノリで賑わっている。