「おい」


低い声が響いて、俺は薄目を開けた。

……いつのまにか、眠っていたらしい。

ソファに背を預け、隣には弥生がいて。

彼女は俺の肩に頭を乗せ、スウスウと寝息を立てていた。


「おい、恭哉」


聞き慣れた声にギクリとして、俺はゆっくりと振り向いた。

そこには……

弥生の兄貴が、腕を組んで仁王立ちしていた。


「……どーも」


俺の愛想笑いに、兄貴の顔色が変わった。