12月の初め、お兄さんがやって来た。

スーツを着て神妙な面持ちの様子に緊張しているのが見てとれた。

リビングにはおじちゃんがいて、おばちゃんが出迎えた。挨拶を済ませると促されて椅子に腰かける。

誰も何も喋らない。異様な雰囲気だ。

おばちゃんがお茶を差し出すと初めて「ありがとうございます。」と言葉が発せられた。

おじちゃんが「そんなに緊張しないで。」と言うものの、話が話だけに硬い表情のままだ。

お兄さんはお茶を一口飲むと「…ご存知だと思いますが…」と話始めた。

「咲さんが以前から知りたいと言っていた父親は…僕でした。
天宮さんには夏にお会いした時に少し話しましたが、奥さんにも…特に咲にはきちんと伝えたい。」

咲はゴクンと生唾を飲み込んだ。

「…雪乃は貴士が生まれて間もない頃にやって来ました。産後の回復が遅れて体調が優れない母の代わりに、家政婦としてお願いしたんです。」