「…福ちゃんにはわかんないよ。」

「ああ、わかんないね。でもミッチも辛いことあったんだろ?それぐらいはわかる。
もう人を羨むのは止めろ。ミッチにはミッチのいいとこがあるよ。そのままのミッチを受け入れて、好きになってくれる人がきっと現れるから。」

ミッチの瞳から大粒の涙が零れ落ちた。

声を殺して泣くミッチの頭をポンポンと触った。

普段は気の強い女だと思ってたけど、こんな脆(もろ)い面があったんだ。

一文字に色々あったように、ミッチにもあったんだろう。

俯き加減でトボトボと歩き出した彼女の背中にそっと手を添えた。