「どしたの?用事?」

「そういう訳じゃないけど、夕べ酷い雷だったじゃない。咲ちゃんに迷惑かけたんじゃないかと思って。未だに雷が怖いんだから情けないよ。しっかりしろって言っといて。」

おばちゃんはベッドで布団をスッポリ被って息を潜める尊に向かって、声をかけるように言うと下へ降りて行った。

「尊…。多分バレてる。」

「やっぱり…?」

「…どうしよう。」

「母ちゃん、わざと知らん振りしたんだろ?だったら俺らも知らん振りしてようぜ。二人だけの秘密。」

二人だけの秘密…か。特別な響きでドキドキする。

あれ?二人だけの秘密…てどっかで聞いたような…。どこでだっけ?

「うん。」

ふふふ…クスクス…顔を見合わせて笑った。