「ふーん。案外近かったんだな。…あれ?咲ちゃんて一文字さんだよね。ここ天宮さんだけど?」

「あ……ここでいいんです。ちょっと事情があって…。」

「そっか。間違えたのかと思ったよ。あ、そうそう。あんまり真聖に優しくしない方がいいぞ。あいつすぐ図に乗るからちゃんと断ることもしないと。」

「えー?そうなんですか。ふふ…よく知ってますね。」

「そりゃあ、あいつが生まれてこの方ずっと見てきたからね。」

「まるで親みたいですね。福田くんも大変だ、親が3人もいて。」

「大人をからかうな!」

ペシッとデコピンをされた。

「じゃな。」

北条さんは軽く手を上げて、来た道を帰って行った。