借りた教科書やノートの片隅に小さく描いた銀杏の葉。その葉は咲へのメッセージのつもりだった。

昔、保育所の帰り。母ちゃんが迎えに来れなくて咲の母ちゃんと一緒に帰ったことがある。

その時、あの銀杏並木で少しだけ遊んだ。咲はたくさんの銀杏の葉を束ねて『見て見て!お花みたいでしょ?』そう言って俺に見せようとしたら、バラけてしまって半泣きになったんだ。

『こうすればもっときれいだよ。』

俺は落ちてる葉をかき集めて咲の上に撒き散らした。

『きゃー、きれいきれい。』

何度も咲の上に葉を降らせて、咲は両手を広げて見上げてた。

咲は覚えてるのかな。

これから先も、咲を喜ばせるのは俺でありたい。