ブォンっ、と音が鳴りバイクが止まればゆっくりとバイクから降りる。


あれから既に一週間経つ、クリスマスの暴走も終え次は正月……平和すぎる。


まったく克は現れずにただ平穏に時は流れていくばかり……まあ良いことでもあるけど。


自分のバイクから必要な物だけ取り出し倉庫の中へと入っていけば何やら様子の可笑しい下っぱ達にも挨拶を交わす。


幹部部屋へ向かう階段をのろのろと上がればバンっ、と音をたて慌てた様子で千鶴と恵都が出てくる。



「……おはよう、どーしたの?」

「あっ、いや、あの何でもねえけどさ」

「……じゃあ退いてよ」


意味の分からない恵都の行動に訝しげに見ながら言うが中々退かない恵都。


「蓮南!!お、温泉行こうよ!!」

「……いいけど、予定空けとくから」

「分かった!!えーと…コンビニ行こ!!」

「んー……面倒だから後でね」

「えっ……じゃあ……」


明らかに可笑しい恵都と千鶴の反応を暫くは面白がっていたけど、ずっと階段にいるわけにも行かず軽く溜息を吐く。


何か今日は倉庫内が変。


「……お、俺の特訓してよ!!」

「えっ!?…じゃ、じゃあ僕も!!」


二人の言葉に少し目を見開いてから妖しく微笑む。


「……暫く歩けなくなるよ?」


確かに強くはなるけど、洋君から教えられた方法とボスからの特殊なトレーニングをしている私の特訓はかなりキツいらしく波留と鈴夜にだけしたことがあるけど、一週間は歩けなかった。


まあ…特訓もたまには悪くないかなぁ…


「い、いや…遠慮する…」

「…僕も」


明らかに顔を青くし断る二人に少し残念そうに溜息をはいてから口を開く。