月夜の泪






「…私帰る」

「え?帰んのか、蓮南?」


辰樹の言葉に「ん」とだけ答え頷き携帯と着ていたパーカーだけ取り扉へと向かう。


「蓮南、何で帰んだ?」

「んー…どうしよっかな」


そういえば、今日は波留のバイクに乗せてもらってたからなあ……


「俺達も帰るから送ってやるよ」

「ああ、どーせだし乗ってけよ」


洋君と翔君に言われコクりと頷き微笑む。


「じゃあ、ばいばーい」

「捕まることはすんなよな」

「じゃあな」


皆に挨拶を軽くし三人でぞろぞろと倉庫から出ていく。


倉庫を出れば、ひゅっと冷たい風が体にあたり思わずぶるっと震えてパーカーを着込む。


「…ほら、早く乗れ」

「んー…あったかい」


車の暖房に手を当てればじわじわと体温が戻る気がした。


「家でいーのか?」


洋君の言葉にコクっと頷けば車が静かに進み出す。


「克は出てこないのか?」

「あいつ全然掴めねえんだよなー…」


洋君と翔君の言葉に軽く相槌をうち窓を少し開け煙草の煙を吐く。