月夜の泪






「あれ?今日は波留いねーのか?」

「そーいや、帰ってきてないよな」


洋君の言葉に気づいたのか鈴夜が言えば蒼と揃って不愉快そうに眉を寄せる。


「…なんか、あったのか?」

「二人揃って同じリアクションって…」


少し驚いたように大雅と恵都が言えば重く溜息を吐き先程あったことを話す。


「僕、裕香って知ってるっ」

「波留の元カノとか?」


千鶴の言葉にふざけたように言う恵都の言葉に千鶴はコクりと頷く。


「…え?まじで?」

「あの波留の元カノか…」


確かに波留は極度の女嫌い…まあ鈴夜と恵都が驚くのも無理ないか。


「……裕香は波留と付き合ってたけど、…波留の顔が好きだった、って言われて別れた…らしいよ」


千鶴の言葉に気まずそうな空気が流れるなか蒼と洋君に翔君、私だけは呑気に煙草を吸いながら携帯を弄ったり話をしている。


そんな中、ブーブーっと鼓動する携帯を開けばディスプレイには浬津の文字。


「…もしもし」

「今日、急だが仕事が入った…来れるか?」

「んー…、行ける」


皆を一瞥してから答えれば仕事内容と時間を告げられ電話が切られる。


今は18時…19時からだしそろそろ一旦帰らなきゃなー…


そこまで考えソファーから立ち上がり軽く伸びをする。