「……お前はもう海炎の総長だろ!?もう克は忘れろよ…ッッ…伊折を大切に思ってるならこんな事止めろ。…頭を冷やせ、考え直してからまた海炎に来い」
そう言い捨てられ一度海炎に出入りを禁止させられた。
それでも良いと思った。
けど…黒蛇の連中を殴る度に感じた虚しさはただ私を惨めにさせていくだけだった。
満天の星空を眺めれば鮮明にあの日の記憶が甦る。
月は綺麗な星空の下に起こった事件。
―…思い出せば未だに涙が溢れた。
「……何があっても守る……」
口にすれば言い知れぬ感情が胸に沸き上がる。
私は……守れてる?病院で大雅に言った言葉を思い出す。
「伊折の言葉を守る」……今の私はまったく守れてない。
親友の―…大切な人の言葉を守れてない。
それどころか海炎の皆にまで心配かけて……最悪だな。
そこまで考えれば涙を溢すがその目は先程までの瞳ではなく何か吹っ切れたような清々しく強い瞳。
「……海炎に戻らなきゃ」
自分が今何をするべきなのか……それは既にわかりきったこと。
ただ一つ…「伊折の言葉を守る」それだけ。
そう思えば砕けた破片が少し戻ったような気がした。

