――…死んでない
でも、これから先いつ目が覚めるか分からない状況。
そんなの……ッッ…伊折の心は感情は…ッッ死んだようなもの――…ッッ
目が覚めるの何て何ヵ月後…何年後か分からない、それじゃあ楽しく暮らせていた伊折の時間はどうなるの…?
「…う…うわぁぁぁぁんッッ」
「…蓮南ッッ…」
まるで子供みたいに泣く私を強く抱き締めるの大雅の体も震えていた。
「私が…ッッ…私がいなければよかった!!私が撃たれればよかった…ッッ!!」
「……蓮南…それは違う」
「違わない…ッッ…克だって…ッッ私を殺すつもりだったのに……ッッ」
泣き喚く私の体を大雅が離した瞬間、バチンっ、と音が響いたかと思えば右頬にじんっと痛む。
「……伊折は蓮南を守ったんだろ…ッッ…確かに、今は伊折は死んだようなもんかもしれない。…だけどッッ、お前は命懸けで伊折が守ったものをそんな風に言うのかよ!!」
更に痛みを増す右頬を押さえることもせずただ涙で滲む視界に写すのは大雅の怒った顔。
「……ッッ…ごめんなさい…」
ぽつり、と呟いた言葉はその場しのぎなんかではなく素直な感情だった。
伊折が言ってくれた言葉を忘れていた。

