「黙れ黙れッッ!!お前ら何か消えろッッ!!」
そう言い兄が銃を向けた先は……伊折。
サッと血の気が引いていくのが自分でもわかった。
ただ――…伊折を守らなければ。
伊折の方まで走る間にも克は恐ろしく笑い声をあげる。
届け、届け、届け…ッッ
無我夢中で走って掴んだのは伊折の手。
……掴めたッッ
そう思って少し気が緩んだ瞬間
バン―…ッッ
渇いた銃声音が響き渡ったと同時に腹に感じる痛みの中、揺らぐ視界に移ったのは横たわる血塗れの伊折。
一瞬何が起こったのかわからなかった。
「…ははは!!馬鹿みてぇ!!蓮南なんか庇って死ぬなんて本当馬鹿じゃねえの!?」
ゲラゲラと笑いながら叫ぶように話す克の言葉に理解し急いで伊折の元へ駆け寄る。
「伊折ッッ!!…死なないで…ッッ…」
「…ふっ…泣いてんじゃねえ…よ」
「……喋らないで!!何で庇ったの……」
「…俺の大切な親友だから…な…」
「……ッッ…伊折…っ」
「……何があっても…自分を責めるなよ…」
その言葉に頷き耳を近付けた時言われた言葉。
「――――――――」
今にも消えそうな声で話す伊折を制止、近くにあったバイクに乗せ急いで病院まで運んだ。
すぐに手術が始まりその間はずっと体が震えていた。
「……伊折は!?」
手術室から出てきた伊折を見て医師にしがみついて喚くように聞けば気まずそうに黙る。
「一命は取り止めました…」
「……なら、何で…」
ずっと目線を合わせない、歯切れの悪い医師。
「……いつ、目を覚ますかは分かりません」
ガクン、っと膝から崩れ落ちた瞬間崩れかけていた物が全て壊れた。
守れなかった…伊折が守ろうと来てくれたのに私は……ッッ

