「……お前がいなければッッ!!」
「…どうして…?」
――…運命は無情にも廻っていく。
私の前に妖しく黒光りする銃を突き付け憎悪に歪んだ顔で見つめるのはこの世でただ一人の血を別けた兄――…克。
ただ茫然として動けず目を見つめる事しか出来なかった。
「……なんでッッ…お前ばっかり!!」
克はいつだって私の自慢の兄だった。
父と母が離婚して克と離れると知った時、どれだけ泣き母を困らせたんだろう。
でも、それは私だけだった……ッッ
今私を憎悪の瞳で見ている克を見て何かが音をたてて壊れていくような気がした。
「……なんで、私が憎いの…?」
驚く程、弱々しい声で聞けば少し黙る克に馬鹿馬鹿しいけど僅に期待していた。
「違うよ」って、嘘でも良いから言ってほしかった。
でも、克は嘲笑うよう笑い声を上げ口を開く。
「……何もかも蓮南の方が上、母さんも父さんも褒めるのはお前ばっかり。…それでも我慢してたさ、俺だって愛されてるって思ってたから」
そこまで言い一旦言葉を止め息をつく克。

