月夜の泪




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「……ガラクタ、つまんないなー…」


そう言いながら頬を血で染めるのは、まだ海炎にも始末屋にも入っていなかった頃の私。


下に転がる男達は辛うじて生きている、と言った様子で既に虫の息。

そんな男達を嘲笑うかのように座り込み煙草を吸いながら死神が描かれたカードを出した。


それは、私が勝った事を皆に知ってほしい…そんな考えで多分置いていたカード。


「……血狼、か」


ぼそり、と一人虚しく呟けばそれは夜の闇へと消え行く。

血狼(ケツロウ)とは私のその時の通り名。

一匹狼のように戦いその喧嘩の仕方は残忍としか言いようがない、そして血が辺りに散っている事から"血狼"と呼ばれるようになった。



武道は興味本位である程度習った事もあり、喧嘩で負けた例しはなかった。


ただ、全てがどうでもよかった。

この時、大好きだった母親が事故で死に父は既に離婚していて葬式にすら出席しなかった。


ただ独りぼっち。

まるで世界からはみ出したみたいな気持ちでとにかく喧嘩に明け暮れていた。