パタン―…ッッ
皆が出ていった部屋にのんびりとしながら煙草を取りだし私だけ残ったまま。
「今の海炎はどうだ?」
「……皆いい奴ばっかだよ、大切な存在」
ふーっ、と煙を吐き皆を思い浮かべ思わず笑みを溢す。
「そうだな…俺にとっても大事な存在だ」
「……うん。だから、護るんだよ」
「…自分の事も大切にしろ」
真剣な目をした洋君に思わず嬉しくなり微笑む。
心配してくれる人がいる…それはきっと当たり前みたいで当たり前じゃない。
心配されないにこした事はないけど…
でも、それだけ愛されてるって事だから。
「……大切にするよ、誰も傷付けず…護り抜く」
――…勿論、自分もね、そう繋げて言えば満足そうに瞳に安堵を滲ませ微笑む洋君。
「……克の動き、わかる?」
「あいつ、まったく掴めねえんだ…これっぽっちも出てこないんだ」
そう言い親指と人差し指で丸をつくり表す洋君に溜息をはく。
「……やっぱり掴めない、か」
まあ"ここまで"は想定内だから構わないけど……克はいつだって私の想定を裏切る男。
「……とりあえず今日は帰るよ」
「ああ…じゃあな」
手をヒラヒラと振り扉を開け静かな廊下へと出る。

