ガチャ、っと音をたて扉を開ければ苛立った様子の塁に楽しそうに眺める凛雪の上層部。
「…やっと来たんだ」
「そんな時間たってないけど」
軽く返事をすれば音をたて塁が走り蹴りをいれてくる。
「…それじゃ、当たんないよ…」
「……ッッ…くそっ…」
ひらりと避け呟けば更に怒りに触れたのか蹴りをいれてくる塁。
「…遅いー…、飽きた」
暫くは避けていたけど…一発も当たらないし、もう飽きてきた。
「…終わりにしようよ」
「ふざけるなっ!!」
息切れしながらも未だに蹴りをいれようとしてくる塁に溜息を漏らす。
ぐっ、と拳を握り力加減をして鳩尾を殴れば小さく「ウッ」と声を上げ崩れ落ちる塁を軽く受け止める。
「…塁ッッ!!」
駆け寄ってきた恵都を一瞥し口を開く。
「…気絶してるだけ、直ぐに目覚ますよ」
そう言えばほっとしたように安堵の溜息を漏らす恵都をぼんやり眺め視線は座ったままの蒼へと移す。

