月夜の泪





煙草を啣え白い煙を吐き出す。
ふわふわと煙の上がる方をぼんやりと眺めていれば再度、煙草に口をつける。



「こちら、どうぞ」

「あっ、どうも」



近くを回っていたボーイに飲み物を渡されこくりと一口すする。



暫く時間を潰しながらも辺りを見るがやっぱり怪しい人がいなく軽く溜息をはく。


やっぱし嘘だったのかな。


パチ―…ッッ


不意に会場が暗くなり客がざわざわと騒ぎ出す。


何かのサプライズか…?


「ちょっと…これってサプライズか何か?」

「いえ…僕達も知らされていなくて…」


動揺を隠せず吃りながら言うボーイから離れた時無線が繋がる。


「依頼人とは一緒にいるの?」

(あぁ…無事だよ、とりあえず俺は依頼人連れてここから離れる)

「わかった」


無線を切り暗闇に目を凝らすが中々電気はつかないのと人数が多いので見つかりにくい。


んー……あれかな?


ちょうど二階の隅から依頼人に向けられている銃を構えた男が……三人か。


「…浬津、見つけたよ」

(わかった、上には何人いる?)

「んー…三人だけ」

(じゃあ任せた、下は色々紛れ込んでるから多い、あとで来いよ)

「了解、じゃあねーっ」