side 蒼
「…なんだ…あいつ…」
思い切り鳩尾を蹴られたかと思えば勢い良く吹っ飛ばされた。
しかも…女に。
ありえねぇ………
暫し他の三人も唖然として蓮南が出ていった扉を見つめるがハッと我に返る。
「おいっ…大丈夫か?」
「ああ…まあ、な」
塁に手をかりソファーに移動すれば、すかさず恵都が口を開く。
「何、油断してんだよ蒼っ!!でも、まさか本気でやられたわけじゃないだろ!?」
「まあ、油断してたのもあるが……」
そこまで言いかけ口を塞ぐ。
面白い女…無論正体も気になるが何より俺はあいつと――…殺り合いたい
あいつはきっと強いはず…ただ純粋に本気で殺りたい…
そう考えるとぶるりと武者震いをし僅に口端を上げる。
「…?なに笑ってんだ蒼?」
「…ふっ…まあな」
意味がわからない、とでも言いたげに辰樹に見られるが無視したまま未だに感じる歓喜にただ体が震えた。

