月夜の泪





「…俺は、伊折の親友としても大事な仲間としても蓮南は最高な奴だと思ってる」


「俺らの総長は蒼だけど、二人総長がいるっていうのもいいかもしれないね」


「そうだよな!!俺も蓮南達とずっと一緒にいたいからな!!」


続けて話す凛雪の言葉に空を仰ぎ涙を堪えながらも相槌をうつ。



「…皆、ありがとう…ッ」


今にも、溢れんばかりの涙を瞳に溜めながら言えば微笑む皆。


時計を見ればもうすぐで約束の時間。
特攻服を纏い皆の方を向く。


「……行くよ」


小さく、しかし力強く言えば一人一人頷く皆を一瞥し倉庫から出る。


外に出れば闇を照らすように光る無数のバイク。


「……皆、行くよ」

「「「「おぉぉぉぉぉおッ!!」」」」


私の言葉に返す雄叫びに不安など消え去り勢いよくバイクを走らせる。


「…蓮南、ずっと一緒だからな」

バイクを寄せ近づいてきた、波留からの言葉に嬉しさとは別に胸がドキッと高鳴る。


「……うん、皆一緒だよ」


小さく言えば、ふっ…と笑みを向け「あぁ」と軽く答える波留。


何なんだろ…
波留といると胸が高鳴ったりたまに黒い感情が渦巻いたりする…


今から克と殺りあうと言うのに、頭の中は波留の事だらけで少し混乱しながらも息をスゥッ、と深く吸う。


「……よし…っ」


気持ちを入れ替えるようにふぅ、と息をはき出し目の前の道を見据える。



今は克の事だけを考えなきゃいけない。


「……絶対、大丈夫」


誰に言うでもなく、ぼそりと呟いて笑みを溢す。


"絶対、大丈夫"

呪文のような言葉で、不思議と本当に大丈夫に思える。

でも…きっと、皆がいるからその自信が湧いてくるんだと思う。


だからこそ、私の大事なものを守らなければいけない。