「……蓮南は良い仲間が出来たな…」
由奈の話では、瞳と髪色のせいで回りからは色々と言われていたらしく友達と呼べる奴は少なかった。
伊折に出会い、海炎に入り蓮南は笑顔が増えて雰囲気が柔らかくなった。
きっと…俺たちだけではその笑顔を引き出す事は難しかっただろう。
ふわり、と蓮南のプラチナのような髪を梳けばさらさらと指から零れ落ちる。
「…んっ…」
小さく声を上げ身動ぎをする蓮南に気付きいつもの癖で頬にキスを落とす。
「……おいっ、何やってんだよ!!」
「黙れ、蓮南が起きるだろ」
柄にもなく焦る波留にぴしゃり、と良い放てば睨みながら黙る波留。
「……で、何がだ?」
黙ったままの波留から視線をずらし驚いたようにこちらを見ている周りの奴らを一瞥し、浬津に答えを求めるように視線を止める。
「…はぁ…頬にキスしたからだよ」
「……で、何か文句でもあんのか?」
自分のする事にケチをつけられたような気分になり、声を低くして言えば睨んだままの波留。
「……蓮南に触るな」
あまり感情を表には出さない印象だった波留の口から出た言葉に思わず一瞬目を見開くがすぐに堪えきれず笑みを溢す。
「…おは確か…ああ、なるほどな…」
一人、納得して呟けば訝しげに見る波留に維持悪く笑みを向ける。
「…まあ、蓮南は俺の宝だから。…そんな簡単には渡さねえよ」
それだけ言えばくるり、と向きを変えれば後ろにいた洋一と翔とぱちり、と目があう。
「……本当に蓮南の事には過保護だな…」
「…いつもの劉だったら考えらんねえよな」
呆れたように言う二人に舌打ちをし刺さるような波留の視線を無視して蓮南の部屋へと向かいその場を後にした。
「本当に、良い仲間ができたな」
ぽつり、と呟いた言葉は誰に答えられるわけもなく夜の静けさへと消えていった。
side 劉 end

