side 劉
トントンッ、リズム良く背中を優しく叩いていれば直ぐにすやすやと安心しきった顔で眠る蓮南。
「……寝た、か」
ぼそりと呟き寝顔を見ていれば自然と口元が緩む。
本当の我が子のような存在の蓮南、血の繋がりは無くても家族同然であり俺のただ一人の娘のような存在。
「…久々に名前呼んだな」
「あぁ、安心したんだろ」
「まあ蓮南はボスの事、大好きだしな」
俺の腕のなかで眠る蓮南の顔を見て話す浬津は少し皮肉交じりに言ってくる。
まあ、こいつも蓮南の事妹のように可愛がってるからな。
「…こいつは背負いすぎなんだよ」
蓮南を見つめ眉を寄せ呟く。
いつもそうだった、昔からの悪い癖。
初めての仕事だっていつもそうだった、溜めるだけ溜めて張り詰めた糸が切れるまで自分一人で何とかしようとする。
まあ…由奈が早く亡くなったのや離婚したので無意識に"自分の中で片付けなければいけない"そう感じていたんだろう。
「…なんか、俺すいません」
「あ?」
いきなり話しかけられ低い声で言えば一瞬びくっ、と肩を震わせる恵都。
「おい、後輩びびらすなよ」
呆れたように言う洋に気付き小さく溜息を漏らす。
「ああ、悪い…まあ恵都も悪いだろうけど、溜め込みすぎた蓮南も蓮南だ」
「あんまり気にしなくて良い」続けてそう言えば、ほっとしたように息をつく恵都。
「…これからも、蓮南を支えてやってくれ」
「…ッッ…ボス…」
滅多に頭を下げない俺が頭を下げ周りに言えば驚いたように声を漏らすが、浬津も横に座り頭を下げる。
「……蓮南は、俺らの一部だ」
その声に顔を上げ見れば波留が口元を緩ませている姿が写る。
「あぁ…蓮南も同じ気持ちだろう」
そう答え抱えた蓮南を見て微笑めば周りまいつのまにか口元を緩ませ蓮南を見つめている。
「……だが、蓮南を泣かせたら許さねえ」
「…お前らの脳天ぶち抜くからな」
俺の言葉に続けて浬津も言えば一瞬、場が凍るがふっ…と洋一と翔が笑みを溢す。
「…こいつらに限ってはねえだろ、劉は過保護すぎるんだよ…まあ、蓮南に何かあれば俺たちも許さねえけどな?」
「…ああ、当たり前だろ。蓮南は俺たちの妹みたいなもんだからな」
洋一に続き翔が言えば俺も笑みを溢し周りをくるりと見る。

