月夜の泪




「…波留」


ガラッ、と音をたて窓を開け名前を呼べば煙を吐きながら振り返る波留。


「……ッッ…勝手に部屋入って悪い…」

「大丈夫、私こそ…銃向けたりしてごめん」


申し訳なさそうに謝る波留に対して私も謝れば波留はククっ、と喉を鳴らせて肩を震わせる。


「……波留?」


いきなり笑い出す波留を訝しげに見ながら聞けば笑いを堪えながら口を開く。


「…いや、いきなり銃出されたのは初めてだからな…少し可笑しくて」


「あぁ」と納得して先程の光景を思い出せば波留が笑ってるのもありつられて私も笑みを溢す。


「……お腹痛い」


声を圧し殺しながら笑ったせいかお腹が疲れて擦りながら煙草に火をつける。


「ああ…それよりまだ寝ねえのか?」

「んー……あんまり眠くない」


実を言えば先程までは眠かったけど…
何故か波留が来てからは睡魔が嘘のように吹っ飛んだ。


「……話したい事があるんだ」


急に真剣な顔になった波留に心臓がドクンッと跳ね上がる。


「いきなり…どうしたの?」


少し閊えながら言うが波留の目は真っ直ぐに見つめていて思わず逸らしたくなる。


「……俺は――…」

バン―…ッッ


波留の言葉を遮るように扉が開きそこにはいつもとは違う焦ったような大雅の姿。


「…どうしたの?」

「…信条から電話が着た」

「……ッッ…ど、して……」


あまりの事に喉の水分が全て吸いとられるように閊えながら呟く。


波留は状況が分からない、と言った様子でただならぬ様子に眉間を寄せたまま黙っている。