月夜の泪






「そう言えば、どっか行ってたのか?」

「……遊園地、海炎だけだけど」

「珍しいな…、連絡いれとけば?」


洋君の言葉に波留にも何も言ってなかった事を思いだし携帯を取り出す。


「……うわっ…」


携帯のディスプレイには凄い数の波留からの着信履歴。


「……うわっ…凄いな波留。とりあえず電話いれとけ」


その言葉にコクりと頷き波留に電話をかける。プップッと音が鳴り一回のコール音が鳴ればすぐに波留に繋がる。


「…もしもし」

(おい!!どこいんだ!?)

「…洋君の家」

(……いきなりいなくなるから心配したんだよ)

「……ごめん…」

(……まあ洋一さん所なら大丈夫だけど…)

「あと…緊急集会を開く、連絡しといて」

(やっぱり何かあったんだな…わかった、大雅たちにも伝える)


とりあえず皆にも今すぐこの現状を伝えなきゃいけないし…

そう思い緊急集会を開くことを伝え電話を切り、ふう…と息をはく。


「…劉たちにも伝えとけ」

「……え?ボス…?」


不意に出たボスの名前に訝しげに洋君に聞き返せば「あぁ」とだけ言い頷く。


まあ…ボスと洋君は年は少し離れてるけど二人とも私の保護者みたいな感じで仲は良い。


「…浬津にも伝えとく」

「そうだな、皆仲間だからな」

「……ふふっ…そうだね」


柄にもない洋君の言葉に笑みを溢しながらも同調し携帯をかける。