「……本当に大丈夫か?」
「…うん、休んでたら楽になった」
隣にどさっ、と座る波留に言えば安心したように微笑み頭を撫でてくる。
「どっか、店入ろうぜ?」
「…そうだね、お腹空いてきたし」
波留の言葉に賛成し立ち上がれば園内にあるファーストフード店に入る。
「…疲れた…」
波留が注文をしている間に先に席に座れば一気に疲れか出てくる。
軽く溜息を吐き波留の方を見れば、ぴたりと動きが止まる。
「……裕香?」
揺らぐ瞳に写ったのは、何故か注文をしている波留に話しかけている裕香の姿。
「……疲れてるのかな…」
裕香と話す波留を見るだけで、ざわめく心に額を押さえながらぽつりと呟く。
「…もしもし」
不意に鼓動する携帯をとり着信ボタンを押せば聞き慣れた、でも焦っている洋君の声。
「……え?」
次の瞬間には騒がしかった店内の声は消え洋君の言葉だけが頭を駆け廻る。
「…すぐに向かう…」
洋君の返事など聞かずに電話を切れば立ち上がり店の出入り口へと向かう。
「蓮南、どこ行くんだ?」
訝しげに聞く波留の横に立つ裕香を見ればまたどす黒い感情が湧き上がる。
「…とにかく急ぐから」
それだけ言い波留の言葉を待たずに足早に波留のもとを後にする。
もやもや、どす黒い、そんな感情が今にも溢れ出てしまいそうだった。
何故か毎回、裕香がいる時にその感情が心に溢れ出す。

