月夜の泪





「……凄っ…」

「こんなに、いるのかよ…」

「……人ばっかりだな」


遊園地に着けば予想外の人の量に呆然とする私と波留と大雅。


「早く行こうぜ!!」

「僕あれ乗りたい!!」


そんな私たちとは真逆に更にテンションが上がっている千鶴と鈴夜。


「………仕方ないか」


まあ言い出しっぺは私だし……


そこまで考え小さく溜息を吐き園内へと入っていく。


「―――…気持ち悪い…」

「大丈夫か?」

「……少し休む…」


久々にジェットコースターに乗ったからか乗り物酔いが酷い……


心配そうに見る波留に軽く言い俯いて口を押さえていればぴとっと冷たい感触に視線をあげる。


「…ほら、これ飲んで休んでろ。俺は千鶴と鈴夜が迷子にならないように着いてくから…波留、頼んだぞ」

「わかった、お守り頼んだぞ」


「ああ」と言って少し笑みを溢す大雅と波留の会話に思わず笑いが溢れる。


「…ごめんね、また連絡するね」

「ああ…じゃあまたな」

遠くで騒いでる千鶴達を一瞥し溜息を吐けば足早に離れていく大雅に小さく手をふる。