「……待てよ蓮南!!」
「…着いてこないで」
バイクに跨がった時、不意にぐいっ、と肩を掴まれ大雅と視線が絡む。
「……やっぱりな、泣きたいなら泣けよ」
振り向いた瞳には、今にも溢れそうな程涙がたまっている。
「……ッッ…伊折に会いたい…ッッ」
いつも、何でも話を聞いてくれた伊折。
今のこの私の黒い気持ちやぐちゃぐちゃに混ざっている気持ち、全部全部聞いてほしい、やっぱり一番頼れて護りたいと思った唯一の親友に聞いてほしい。
「………ッッ…伊折は戻ってくる、あいつは親友を残したりしない…」
「…ふぇ…話したい…ッッ…伊折に沢山聞いてほしい事いっぱいあるのに!!」
泣きながら嗚咽混じりに話すなか大雅はぎゅっと抱き締めながら静かに話しを聞いてくれていた。
「……もう、大丈夫…」
「ああ…あんまり溜め込むなよ」
「うん…すっきりしたから平気…」
暫くたって体を離し涙を拭いながら大雅に言えばまだ心配はあるものの安堵の笑みを漏らす。
「……今日は久々にボスの所行く」
「ああ、また明日連絡してくれ」
その言葉にコクりと頷けば今度こそバイクを走らせ倉庫を後にする。
頬を伝っていた涙が冬の夜風にあたり消えていく。
全て消えればいいのに…こんな黒い感情なんていらないのに…
ふっ、と上を見上げればあの日と同じ満天の星空。
「……早く目覚めてよ…」
届けばいい、届いてほしい。
そんな期待をこめて星空にむかって伊折への言葉を口にする。

