「ーー竹下くんが、わたしのこと好きだって…」
俯いて律儀に答える中野さんに、あたしは思わずため息をつきたくなった。
何で素直に答えるかな…!
相手の怒りを買うだけなんだから、適当にはぐらかせばいいものを。
「嘘言わないで! 調子乗ってんの? 翔一がそんなこと言うわけないじゃん。
どうせあんたが誘惑したんでしょ?」
一方的に怒鳴って、女の子はまた右手でドアを叩いた。
懲りないな…。
「ねぇ、翔一に近づくの止めてくんない? 目障りなんだけど」
そう言って、ついに女の子が中野さんの胸倉を掴んだ。
すごい…、中野さん浮いてるよ…。筋力どれくらいあるんだろ。
などと思う暇もなく、あたしは今いる場所から飛び出した。
