嫌味を言ってもニコニコしてるこの人には、もう何を言っても通じない気がする。


あたしはこれ見よがしにため息をついて、子猫がいる草むらへ足を運んだ。


「松下、部活は?」

「部活? やってないよ」


意外だった。
彼くらいの人気者はサッカーか何かをしていそうだ。


相槌をうちながら、あたしはしゃがんでお弁当箱の蓋を取り出した。

牛乳を入れるくらいのには最適な深さだった。


「牛乳って子猫にやるためか?」

「……そうだけど」

「意外」


ーー言うと思った。