片思い中

未開封の缶コーヒーをぎゅっと握り締めて、彼に訪ねる。
「ねえ、前の学校ってどんな所だった?」
「え、難しい質問だな……」
 彼は夕焼けに赤く染まった空を見上げ、うーんと唸ってから「普通かな。楽しかったよ」と困った様に笑って言った。
 彼は今年の春、遠い所からこの学校に転校してきたのだ。彼が自己紹介をした時から、私は彼のことが気になっていた。これが、俗に言う一目惚れなのだろう。
「普通……。じゃあ、前の学校でも優等生だった?」
「でも、って。前の学校でも、今でも、優等生なんかじゃないよ。普通より悪いくらい」
 苦笑する彼に、私は思わず食って掛かりそうになった。悪いなんて、そんなことない。そう言いたかったのだ。
 ――でも、そんなふうに言ったら不自然だよね。
 喉につかえた言葉をそのまま飲み込んで、話題を変えようと足りない頭を高速回転させていると、彼から話題を振ってきた。