「はい、コーヒー」
「ん……」
 夕日がまもなく沈む頃。校門前の階段に座り込んでいる彼に後ろから話しかけると、彼は持っていたケータイを片手でパチンと閉じた。
「誰かとメールしてたの?」
「うん、前の学校の友達……あちっ」
 熱々の缶コーヒーを受け取った彼は、何度か持ち替えては両手を温めた。そして、私の目を見て「さんきゅ」と短くお礼を言った。私の小さい胸が、きゅんと跳ね上がる。