「朱梨さんと何話してたの」 帰りの車内で、先生が聞いてきた。 「先生、朱梨さんのこと、まだ好きなの?」 「………は?」 「好きなんだ」 『好きじゃない』 少しでもそんな答えを期待してたあたしが居て。 思わず涙が出そうになった。 「……好きとか、わかんねぇ」 「そっか………」 「つーか朱梨さんの名前二度と出すなよ」 トゲのある、先生の低い声が響いた。